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Day.9 -2002.07.22 Day.8 へもどる
“教会の街”として知られるアデレード。重厚な建築の教会は、存在感たっぷりだ

 朝9時に目が覚めたが、外は暗かった。窓のある位置は午前中日が射さないので、正確には"暗く見えた"かな?
今日の朝食は盛りだくさんだった。昨夜の残りのパスタと、昨夜の残りのおにぎり、そしてコーヒー。どうしてこんなに頑張って、こんな組み合わせを朝から?それには、我が家でひんぱんにおこる、永遠の論争"賞味期限"が関係している。

 猛はどちらかというと賞味期限には寛容だ。数日過ぎたくらいのものなら、躊躇せず食べる。まあ、その結果おなかをこわした回数、数知れず、だけど。対して菜津子は、賞味期限にものすごくうるさい。ちなみにこれは母親の影響だ。猛の影響を受けずいぶん"軟化"しつつあるけれども、前日の食事の残りは必ず冷蔵庫に入れ次の日までに食べる、というポリシーを崩さない。この日私達は、お昼も夜もどこで食べるか決めていた。つまり、昨夜の残り物をどうしても朝食で食べ切る必要があったのだ。

ここが鉄道の駅。構内は少し暗かった。
 という訳で朝からお腹一杯になった私たちだが、出かける前にしなければいけないことがあった。”Indian Pacific-インディアン・パシフィック”の予約だ。これは菜津子の旅の第一の目的なのだ。
 インディアンパシフィックとは、シドニーとパースを結ぶ、大陸横断鉄道である。途中、400kmにわたる世界最長の直線を体験することが出来る。これまた母親の影響で、菜津子は列車の旅が大好きである。学生時代は、節約の意味もあって、下宿先の京都から実家のある静岡まで、ひたすら鈍行で帰るということもしていた。菜津子の中ではすごいことだったが、まだまだ上手がいるものだ。しかも身近な所に。猛は東京から実家のある広島まで、度々鈍行で帰ったそうだ・・・。
ちなみに、当時仲の良かった先輩から授かったアドバイス。"朝電車に乗り込んだらすぐチョコレートを食べろ。胃が痛くなって、家にたどり着くまで何も食べたくなくなるから"。途中米原(滋賀県)で買う鱒寿司の駅弁を楽しみにしていた菜津子は、一度も実践しなかったけれど。

 長距離列車だけあって、インディアン・パシフィックは毎日運行されているわけではない。水曜日と土曜日の週2回。今まで駆け足で旅をしてきた私たちがなぜアデレードに3日も滞在したかというと、インディアン・パシフィックの出発を待っていたからなのだ。そしてアデレードのバッパーには、同じ理由で長期滞在する人が結構多い。

 予約はバッパーからしてもらった。もちろん自分で予約することもできるが、バッパーからの予約の場合、料金が割引になることが多い。明日の夜の出発が決まった。この時点で菜津子はかなり上機嫌である。“世界の車窓から”というテレビ番組で見て以来、あこがれてきた電車に乗れるのだから。
ただし、1つだけ妥協しなければいけなかったのは、寝台車をあきらめたこと。寝台車に乗ってしまうと、一周する予算を使い果たしてしまうので。菜津子が未経験の寝台車は、次の機会までおあずけとなった。

サウスオーストラリア美術館。隣には前日訪れた“南オーストラリア博物館”がある

 バッパーを出発し、二人は“あるもの”を探しながらArt Gallery of S.A.-サウスオーストラリア美術館に向かった。そして“あるもの”とは、デジカメの写真をCDに焼いてくれる現像屋さんだった。私たちはデジタルカメラを旅行に持っていった。ラウンドに行く人のほぼ全員がカメラを持っていくが、デジカメとカメラの割合は半々。そして本格的な一眼レフカメラを持ってくる人が意外に多いのに驚いた。
デジカメを持っていった場合、どんどん膨れ上がるフィルムを持って歩くわずらわしさはないが、メモリースティックには限りがあるという難点がある。我が家は“足りるだろう”という甘い観測のもと、128mbのメモリースティック1本しか持っていかなかったが、オーストラリアを侮る無かれ、わずか1週間でメモリースティックは一杯になり、これ以上の撮影ができない状態になっていたのだ。
2002年のオーストラリアはまだまだデジカメ浸透率がそれほど高くなかったので心配したが、私たちは1軒の現像屋さんを見つけることができた。CD1枚分で$19.95.思ったよりも高くなかったので一安心。

 サウスオーストラリア美術館には、よくあるどーんと広い展示室がない。いくつもの小部屋にテーマ別に展示品があり、訪ねていくといった趣である。お互いに気に入った作品を見つけながら歩くのは楽しかった。

アデレード大学のキャンパス。建物内部は結構入り組んでいて、
食堂にたどり着くまでに散々迷ってしまった

 今日の昼食は、何年ぶりかの“学食”で。アデレード大学の学食は、誰でも入って食事をとることができる。ガイドブックで調査済みだった私たちは、学食で昼食をとることをかたく決意していた。まあ、その結果があの朝食になったわけだけど。
日本の学食のような“○○丼”とか“○○定食”は残念ながらなし。当然だけど。一番無難そうなラザニアとヌードルを食べる。うん、おいしい。本当の味はともかく、外食の時点で“おいしい”と感じる2人だった。

 昼食の後、駅に行った。電車に乗るわけではなく、カジノへ。アデレードのカジノは、何と駅の上にあるのだ。何といっても汚い格好なので、少しびくびくしながら入場。歩き回った後少しだけゲームをした。2人で$58勝ったので、ラッキー!と喜びたいところだが、何となく楽しめなかった。なぜかといえば、、、カジノの雰囲気だろうか。

液の正面入り口から右手に進むと、カジノの入り口がある。ここから先は撮影禁止。

 オーストラリアは地域によって気候の差が大きい。日本でも言われることだが、住んでいる地域の気候によって人柄も違うのだ。私たちの出発地クイーンズランドは、キャッチフレーズが“Sunshine State(太陽の州)”というだけあって、1年中お天気が良い。従って人々は明るく観光業も盛んというわけだ。 

 アデレードは南オーストラリア州にある。つまりオーストラリアの中で、どちらかといえば寒い地域にあたるのだ。明るさ、という点ではクイーンズランドに敵わないのもうなずる。そのかわり、といっては何だが、クイーンズランド、特にゴールドコーストに比べれば、きちんと真面目に働いている人が多いという噂も。

 市内観光を終えてバッパーに戻った私たちは、何とあの“ヒルトンホテル”にディナーを食べに行った。しかも無料で。
“バックパッカーズ”と言われる、節約しながら旅を続ける人の多いオーストラリアでは、この手の“フリーミール”といわれる、無料あるいは3ドル(約220円)程度の格安料金で、食事や時にはビール1杯を提供するお店が数多くある。

“豪華な”ディナーを食べたヒルトン・ホテルの近くにある“ビクトリア・スクエア”。
ここに立っていると、周囲の教会が奏でる鐘が洪水のように押し寄せ、圧倒される。

 出発前、数多くのフリーミールを食してきた友人から、あるアドバイスを頂戴した。“ビールは一杯で我慢しろ”。
レストランやバーがなぜフリーミールを提供するか。それはずばり、旅行者が飲むことに期待しているのだ。
オーストラリアはとても空気が乾燥しているというのは有名な話。つまりビールが欲しくなる環境に恵まれている。更に、オーストラリアのビールは総じてアルコール度数が低く、しかも味が薄い。そしてグラスの大きさは、日本で言う“小ジョッキ”。ここに味の濃いお料理を提供すれば、、、一目瞭然である。
友人からきつく言われていた私たちは、めったに(?)“1人1杯”の原則を破ることはなかった。猛がグレートバリアリーフにお財布の紐を落とすまでは。。。

 ヒルトンでディナーを終えた私たちは、ある衝撃の事実を知る事になる。
私たちより1週間遅れてラウンドに出発したTさんとキヨが、出発から2日目にして別々の道を歩くことになったというのだ。
何が起こったのかはよくわからないが、キヨの要望によりパースで合流することにした。このキヨ君、Day13よりラウンド隊の一員となる。

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