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Day.19-2002.08.01 Day.18 へもどる
 朝シープステーションを出発した私達は、コーラル・ベイ(Coral Bay)に向かった。走り始めて間もなく、私達はラウンド中最悪の事件を経験することになる。

 オーストラリアの象徴“カンガルー”。オーストラリアではあちこちにカンガルーが飛び跳ねていると思われているかもしれない。そして、場所によっては本当にその辺りで跳ねている。特に、“アウトバック”と言われるいわゆる未開発地域ではその数も多い。アウトバックを走る車の多くに、車の前面を完全に覆う“カンガルーよけ”が付けられている。カンガルーは体も大きくスピードも速いので、万が一カンガルーと衝突した場合、車が受けるダメージは相当なものらしい。

舗装された道の両側には、このようにゴツゴツとした風景が広がる。
カンガルーは、こんな所から突然飛び出してくるのだ。
 車で走り始めてしばらくたった頃、私たちは突然、“ドスン”という衝撃を感じた。車を止めたガイド氏、“カンガルーとぶつかった”と言い、車を降りていった。イングランドの男性3人も、彼に続いた。車の中から遠目に見えるカンガルーは、起き上がる様子がない。
車を降りたガイド氏は、手に何かを持って、カンガルーに近づいていった。そして、、、あえて柔らかな表現をすると、痛みに苦しむカンガルーの手助けをしたのだ。長い間苦しむのは辛いだろうから。それには私たちも納得せざるを得ない。

 私たちが彼の人間性を疑い嫌悪したのは、この後だった。あろうことか、彼はカンガルーを荷台の上に乗せ、得意げな笑みを浮かべ言い放った。“今夜のディナーには、このカンガルーを食べよう!”

 “オーストラリアの珍味”と言われるカンガルー肉を、食べたことがないとは言わない。私たちが生きていくために、他の生き物の命を奪っていることは、否定するまでもない。魚釣りをして“今夜はお刺身!”とはしゃぐ事だってある。しかし、、、この場合、この件に関しては、私たちはどうしても納得できなかった。“彼”が行なった行動だったから?それも“イエス”の理由にあるかもしれない。たとえ、めちゃくちゃな事を言っていると言われようが、こんな残酷な行動を見たことがないと、特に菜津子は憤慨していた。

 私たちが怒っただけでは、ガイド氏を初め、“オージー体験”に大喜びのイングランド男性陣も気に留めなかっただろう。しかし、イングランドグループには、猛もキヨ君も大ファンの、とってもきれいな女性がいた。そして彼女は、、、とても怒っていた。バスに戻ってきた彼らに背を向け、一言も口を利かなかったのだ。これには彼らも参ったらしく、何となく重苦しい雰囲気のまま、バスは再出発した。

 まもなくコーラル・ベイに到着した私たちは、ようやく救われた。カンガルーを荷台に積んだ私たちのバスは、人々の目に異様に映ったらしく、(当然!!!)ある男性がガイド氏に苦情を言ってくれた。彼はその後すぐどこかへ出かけ、戻ってきた彼のバスにカンガルーの姿はなかった。

これが、グラスボトムボート。
大部分の人にとっては、きれいで楽しい、はずなのだが。。。
 2時間ほど自由に歩き回った私たちは、再集合してグラスボトム・ボートに乗り込んだ。“グラスボトム・ボート(glass-bottomed boat)”とは、底がガラスになっていて水中の様子が見えるボートである。揺れる水中が見えると言うのは、素敵な反面、三半規管が弱い人にとっては結構辛いものなのだ。実はキヨ君、三半規管が弱い。当時ツアーガイドをしていた彼は、バスの中で進行方向に背を向けなければならず、お客様に“バスに酔われた方はいませんか?”と言いながら、実は自分の顔が一番青かったりする。この時も、“うわっ!魚いっぱいやん!”とはしゃいでいる様子の彼は、ほんの少〜し(彼の名誉のために)顔色が悪かった。。。

冷たく青い海に飛び込んで、キヨ君ちょっと回復?
 ボートは10分ほど沖まで進み、私たちはそこでシュノーケリングをした。
 何度も繰り返すようだが、この時期は8月。季節的には、日本の2月頃の気候に値する。少し北上した分“真冬”ではないにしても、海に飛込むには少々勇気がいるのだ。しかし、コバルト色の海にはおびただしい数の魚が優雅に泳ぎ、私たちを誘っている。“え〜い!”とまず、キヨ君が飛び込んだ。・・・言うまでもなく、相当冷たいらしい。

風と太陽と戯れる赤いバンダナ
 海水の冷たさは、刺すような、というよりもズキズキと毛穴を通って遠慮なく行進してくる感じ。この冷たさに慣れ、手足を広げて泳ぐという動作に移るまで、しばらく時間がかかった。しかし、海の色の何てきれいなこと!荷物を監視する関係上(同じボートやツアーに乗り合わせた人同士でも、決して油断はできないのだ)順番に“寒中”シュノーケリングを楽しんだ3人。“きれいだったね”という私たちは、みな青ざめた唇で、全身をガタガタいわせていた。。。

偶然サッカーボールを見つけた二人。
ここから“ゴールなき戦い”は始まった
 昼食後、3時間の自由時間となった。イングランド勢とツアーガイドは、貧乏旅行中の3人にはちょっと手が出ない、レンタル料$150程(10,000円強)の4輪バギーに乗って散策に出発。私たちはのんびりと、海岸へ向かった。シュノーケリングで少し気分が晴れたとはいえ、朝の事件から完全に復活していない私たちとって、彼らと離れて過ごすこの時間は、とても貴重だった。

 人気の少ない海岸で、私たちはシュノーケリングやサッカーをしてゆったりと過ごした。

 夕方、私たちは再びバスに乗り込み、ツアーの最終目的地、エクスマウス(Exmouth)に向かった。
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