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Day.17-2002.07.30 Day.16 へもどる
 起きた瞬間から“ビッグデイ”は始まった。朝食を食べてバタバタと支度をしたのだが、ただでさえ“準備”と名のつくものが苦手な菜津子は、頼まれてちょっと石鹸を貸したつもりの人に洗面所を横取りされるなど、かなり自己中心的な同室の女性達の波にもまれ、なぜかバスへ乗り込んだのは最後、という失態を演じてしまった。
こんな岩場が延々と続く。
ご覧の通り、キヨ君はまだまだ余裕があるようだ。
 朝からブルーな菜津子と、あまりにもどんくさい菜津子にあきれ気味の2人。みんなの気持ちを映すかのようなどんよりとした空の下、バスは“カルバリー国立公園”に向かった。

 前日から、今日は靴を履くように指示されていた。いや〜な予感を抱きながらも、一行はバスを降りた。例の最悪ガイド氏、あまり説明とかお客さんの体調を気遣うとか、そういったことをしないらしい。バスを降りると、仲良くなった数人を伴ってさっさと歩き始めてしまった。こんな所で置き去りはたまらないと、後から慌ててみんなついていく。

頂上の岩場の先端で。天候が悪かったのが悔やまれる。
 カルバリー国立公園は、岩肌がむき出しになった、荒々しい渓谷だ。階段などあるわけもなく、しかも岩はツルツルと滑りやすい。初めは話しながら歩いていた私達も、次第に無言になり、下を向いて歩くようになった。岩の間を縫うように進んでいくので、基本的に1列に進む。つまり、自分で足場を見つけて歩かなくてはいけないような所では、渋滞することも。。。そして渋滞の先頭にとかくなりがちなのが、言うまでもなく・・・である。

 歩き始めて約2時間後、私達は頂上と思しき場所にたどり着いた。そこには、穴のあいた岩壁がそびえ立っていた。これが有名な“nature's window(自然の窓)”だと気付いたのは、その5分後のこと。その位、一行は疲れ切っていた。

これが“天然の窓”
 改めてあたりを見回してみると、ここはかなり壮大な渓谷だった。きっと後から考えれば、素晴らしい場所だったに違いない。しかし、ある日の日記で書いたように、ツアーガイドがもたらす影響と言うのは大きい。“ネイチャーズ・ウィンドウ”に感銘を受けながらも、私達は何とも居心地の悪い、落ち着かないような、何ともすっきりとしない疲れを感じていた。

 昼食後、私達は再びバスに乗り、ひたすら北に向かった。今日の最終ポイントは“シェル・ビーチ”。3人がそれぞれ、ひそかにある目的を胸に秘めていた場所である。

 “シェル・ビーチ”は名前の通り、貝殻でできた海岸を持つ海辺だ。この海岸、長さが110kmにも及ぶというから驚きだ。“白い砂浜がどこまでも続くリゾート地”と言われるゴールド・コーストでも、その距離は40kmほどなのだから。
 “シェル・ビーチ”で3人がそれぞれ胸に秘めていた“野望”。それは一番“素敵な”写真を撮る!事であった。ここまで来て写真なんて、、、と言われるかもしれない。しかし、何と言われようと、貝殻をぱぁっと空に投げた写真を撮りたかったのだ。3人とも。

掘っても掘っても貝。
 海岸に着いた私達は、早速それぞれ練習をした。そして、、、競技会は始まった。メイン・カメラマンの猛の指導を受けながら、思い思いの姿勢で貝殻を空に向けて放り投げ、その瞬間を写真に撮ってもらう。撮った写真を見たキヨ君と菜津子、“参った・・・!”と大爆笑である。この競技会、ダントツで猛の勝利だった。

 シェル・ビーチからそれ程遠くない所に、本日の宿泊場所、ロッジがあった。とてもきれいな場所で安心する。昨日と同じく、男女別の部屋に落ち着いた私達は、それぞれ部屋の人たちと話をしていた。そしてそこで、菜津子は衝撃の情報を入手する。

これが猛の優勝作品。腕の角度、足の踏み出し方、
まさに完成された美である
 ツアーには、私達とは逆周りで一周旅行しているイタリア人女性がいた。彼女いわく、“今日のウォーキングはちょっと大変だったけど、キングス・キャニオンに比べたら、とっても楽だったわ”とのこと。“キングス・キャニオン”???あれ?私達の日程表にそんな名前があったような・・
慌てて猛とキヨ君のもとに報告に走る菜津子。そして、この情報が彼らにとっては何の打撃にもならない事を知り、更にショックを受ける。

 自分を理解してくれる人に出会えず、沈んだ気持ちを盛り上げるために、明日の朝ご対面予定のイルカに思いをはせて眠りにつく菜津子であった。
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