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Day.3 -2002.07.16 Day.2 へもどる
 今日は“ブルーマウンテンズ”へのツアーの日。ブルーマウンテンズとは、シドニーの西約100kmに位置する丘陵地帯。高原リゾート地として、また景色の素晴らしい事で有名な場所だ。

 朝7時20分、指定された場所でバスを待った。...来ない。待ち合わせ場所が結構大きなホテルの前だったので、私達の前を何台ものバスが止まっては出発していく。あれかな、これかな、と足を踏み出してみるが、どうも違う。もしかして、置いてきぼり?と思い始めた頃、50m前方から近づいてくる男性が見えた。そして彼は言った。“オハヨウゴザイマス。ホショサン デスカ?”彼が私達のガイドだった。めちゃくちゃ日本語の上手なチャイニーズ。そして更に、“いつもは大きなバスなんですが、今日は調子が悪いので車で行きましょう”。...そう、これが“今日は特別”の始まりだった。

 案内された車の中には、女の子が2人乗っていた。5人乗りの車に初対面の大きな大人が5人。はっきり言ってかなり窮屈なドライブだった。ともあれ、出発。
 
オリンピック会場
 ブルーマウンテンの前に立ち寄ったのが、2000年に開催されたシドニーオリンピックのメイン会場。といっても会場の外に車を止め、オリンピック会場をバックに各自写真を撮るだけ。5分程でまた出発。これって意味があるのだろうか。

 料金を優先した私達は、ツアーの詳細を知らずに申し込んだのだが、実はこのツアーでは3ヶ所回る予定だったらしい。ところが、彼は言った。“今日は道が工事中なので、○○には行きません”えっつ?それだけ?それは前からわかっていたことなんだから、どこか他の場所を選ぶとか、料金を下げるとか、何かの手段をとるべきなんじゃないの?ギモンが山のように沸いて出たが、内容を知らずに申し込んだ弱味で、何も言えなかった。

 ツアーガイドにかなりの不信感を増しながら、ブルーマウンテンに到着した。ガイドさんとは一旦ここでお別れ。彼は結局私達を“輸送”するのが仕事らしい。


緑(ユーカリ)の木々がたくさんあるが、ブルーマウンテン。
ユーカリの油分が太陽の光にあたり、ブルーに見えることからこの名前がついたらしい。

 説明されたとおりに遊歩道を進み、展望台に向かった。この展望台からは、“スリーシスターズ”という奇岩を望む事が出来る。
 “スリーシスターズ”には数々の伝説が語り継がれている。私達がガイドさんから聞いた伝説は次の通り。


 その昔、美しい3人姉妹と魔女のおばあさんがこの地に暮らしていた。ある日、この村を怪物が襲い、村で一番美しい娘がいけにえとして捧げられる事になった。さあ大変、どう考えても選ばれるのは私の孫。何としても孫を助けたいおばあさんは、魔法をかけて娘達を岩に変えた。これを知った怪物は烈火のごとく怒り、おばあさんを鳥に変え、更に魔術を使えなくしてしまった。娘達も一生人間に戻る事が出来なくなり、岩となって残っている。

天井の網が不安を煽る。ひっくり返るのかと思うくらいの角度!?
 よくある話といえばそうなのだが、この景色を見るとその伝説を信じたくなる。山に雲がかかり、その中に岩が突き出している。とても神秘的だ。冬の朝というのが、雲に迫力を与えている。予想しなかった景色の壮大さに、私達はしばしそこに立ち尽くした。

 スリーシスターズに感動した私達は、別の角度からこの岩を眺めるべく移動した。別の展望台に向かうには、最大傾斜角度52度!のトロッコ列車に乗る。これが、本日2つめの目玉。速度はゆっくりなのだけど、角度が本当に急なので、滑り落ちそうな錯覚に陥る。ジェットコースターが大好きな猛は、何となく物足りないご様子。乗っていた時間はほんの数分だったが、不思議な体験だった。

この時期は滝が枯れてしっまていた。残念。

 指定された時間までゆっくりと景色を楽しみ、私達は再び車に乗り込んだ。そしてそこで、衝撃の事実発覚。ガイドの彼が、すらすらとこの後の予定を話し始めた。
“ホショウさんたちは半日コースですね。こちらの女性お2人は動物園に行く1日コースですから、先にお2人を動物園に連れて行きます。その後でホショウさんたちをショッピングセンターに連れて行きますから、2時間ほどショッピングでもしていて下さい”

えっっ? えっっ?

私達、ここから時間をつぶさないといけないの?ショッピングセンター?なにそれ!
もう、ビックリの連続。チャイニーズレストランでバイトをし、数々の仕打ちに合いながらチャイニーズを理解しているつもりの菜津子も、この時は硬直してしまった。
 といっても今更仕方がない。彼の言葉どおり、私達はショッピングセンターで時間をつぶしたのだった。
フェリーが来るのを怒りを抑えながら待つ。
 2時間後、私達はシドニーへ向かった。そして彼の車内販売が始まった。商品は“クルーズ”。1人11ドルで、とてもきれいな景色を見ながらシドニーまで戻る事ができ、しかも渋滞はない、というのが彼の売り文句。ついつい彼の話に乗り、お金を払う。
 乗り場で車を降りた私達は、少し待った後にフェリーに乗った。っていうか、これただのフェリーだよ!どうみても住民の足だよ。観光案内なんて、何にもない。しかも!料金は1人5ドル40セントじゃん!


 ラウンド開始早々、あのチャイニーズの彼は、私達にとても大事な事を教えてくれた。

“ツアーを申し込む時は、細かな内容を確認して慎重に”


フェリーでハーバーブリッジをくぐる。でっかいなー!

 収まりきらない怒りを抱えながらも、結局は海からの眺めを楽しみながらシドニーに戻ってきた。
今日の夜のバスで、メルボルンへ出発する。バスの発車まで約5時間あった。昼間のオペラハウスを見ながら公園を歩き、バッパーまで戻る事にした。今朝チェックアウトはしているが、バッパーでは出発まで無料で荷物を預かってくれる。ありがたいシステムだ。

服装は、この先ほぼ同じです。ご了承下さい。
 オーストラリアで素晴らしいと思うのは、公園の多さ。町の中に、いくつも公園があるのが当たり前なのだ。日本のように砂場や滑り台が置いてある“子供を遊ばせる公園”ではなく、広い敷地で思い思いの過ごし方をする“広場”という感じだろうか。そしてどんな小さな公園でもたいてい置いてあるのが、バーベキューの設備。真夏にクリスマスを迎えるオーストラリアでは、クリスマスには家族が集まって公園でバーベキュー、というのが定番なのだ。

美術館って課外授業以来かも。
 散歩の途中で、アートギャラリー・オブ・ニューサウスウェールズという美術館に寄った。オーストラリアでは、多くの美術館が無料。気軽に芸術に触れる事ができる。普段芸術とは何の縁もない私達だが、ゆったりとした雰囲気に身を置き、しばしの間美術鑑賞を楽しんだ。
 
 バッパーで荷物を引き取った後、バス乗り場がある駅まで歩いていく事にした。猛のバックパックは20kgは優に超える荷物が入っているが、“お金はないけど時間はある”のだから頑張ろう、ということになった。今考えても、長い道のりだったー。

 大きなバスターミナルでは、飛行機に乗る時と同じようなチェックインの方法がとられる。チケットを確認し、荷物の重さを量って預ける。チェックインは早めにすることが出来るので、荷物が多い場合には助かる、がその反面、1本早いバスに乗せられてしまうというアクシデントも。保正家が見舞われたアクシデントについては、旅の終盤をお楽しみに。

 チェックインを済ませると同時に、検討していたメルボルンからアデレードまでの移動ツアーの予約をした。菜津子の旅の目的の1つ、ワイナリーめぐりが日程に組み込まれているツアーにする。オーストラリアでは、出発地と到着地が異なる“移動ツアー”が人気だ。

至るところに時計台が。きれいにライトアップされている。

 バス乗車前に、今回の旅で最初の贅沢、外食をする。外食と言っても1人6ドルほどのテイクアウェイの“ケバブ”だけど、とても豊かな気持ちになった。食べ物って、確かに生きる為のものだし、ある時は節約するべき物だけど、ちょっとしたことで人を幸せな気持ちに出来る。これってすごい。3日目にして“パン・バナナ”の生活に疲れ、何かというとけんか気味になっていた2人も、口の周りにチリソースをつけながら、いつのまにかニコニコしていた。 

本日の出費 (2人分の合計)
ブルーマウンテンズ ツアー代 ... 50ドル
トロッコ ... 12ドル
フェリー代 ... 11ドル
酔い止め薬 ... 4.5ドル
ニット帽 ... 12.7ドル
ツアー代
メルボルン〜アデレード
... 358ドル
合計 ... 448.2ドル

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